Jardins suspendus de Babylone
Kyoko OZAWA
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身体とデザイン
1)講義概要
・近代的な市民社会とそれに伴う「ファッション」という社会現象が成立する19世紀のヨーロッパから、現在のファッション・シーンに至るまで、「服飾史」や「ファッション・デザイン史」の流れを概観し、重要な固有名詞やキーワードを確認する。
・併せて、身体と衣服、ファッションと社会認識や自己意識との繋がりについての分析を提示する。
・ファッションとは、「身体」や「自己」、特定の社会的カテゴリ(男性/女性/少年少女/成年/老人/社会階層……)に対する規範意識や幻想の投影される場でもある。また、身体加工・改造や身体イメージの操作も広義の「ファッション」ないし「衣服」と捉えることが可能だろう。本講座では、ファッションと身体という問題を読み解くための基礎的な分析手法や概念、参考文献の提示を行なう。
2)講義目標
・近代以降のファッション・デザインの流れとキータームを把握する。
・ファッション(モード)という社会的現象、また身体と衣服というテーマ(ここからは、身体の拡張、擬似的な皮膚、身体の表層をめぐる様々な問いが派生する)について、分析的に思考するための基礎を学ぶ。
3)授業計画
1:ガイダンス(講義概要、主要参考文献、評価方法の説明)
2:「適切な身体」像をめぐってⅠ:コルセットの歴史
3:「適切な身体」像をめぐってⅡ:見えないコルセット
4:理想的男性イメージの変遷史:ヴィンケルマンからスリマンへ
5:「少女」イメージの誕生と変容Ⅰ:アリス、ギャルソンヌ、Girls Power
6:「少女」イメージの誕生と変容Ⅱ(近代日本編):「乙女」から「ガーリー」へ
7:裸体とヌードの文化史
8:皮膚と自己イメージ:化粧、整形手術、タトゥ、ピアッシング
9:ファッションにおける「逆説」と「価値転覆」:le chic pauvre(貧しい粋)、パンク、グランジetc.
10:性差と戯れる:両性具有、中性、無性
11:「他者」の取り込み:過去様式のリヴァイバル、エキゾティシズム、オリエンタリズム
12:芸術史とファッション:コラボレーション、引用、盗用
13:ファッションと写真:スチール・フォト、ヴァーチャル・リアリティ、拡張現実(AR)
14:身体の拡張:機械、メディアポスト・ヒューマン
15:まとめ
4)評価方法:出席+意見・感想カードの提出:40%、期末レポート:60%
5)教科書
深井晃子監修『世界服飾史』(増補新装カラー版)、美術出版社、2010年。
ジョアン・フィンケルシュタイン『ファッションの文化社会学』(新装版)、成美弘至訳、せりか書房、2007年(初版1998年)。
6)参考書
講義の都度指示する。
なお、以下の書は参考程度に一読しておくことが望ましい。
鷲田清一『モードの迷宮』ちくま学芸文庫、1996年(初版1989年)。(衣服と身体の関係を理論的に捉えようとした、少なくとも日本における嚆矢。)
西谷真理子編『ファッションは語りはじめた 現代日本のファッション批評』フィルムアート社、2011年。(「ファッション批評元年」と呼ばれた年に創刊された一冊。学術的文章ばかりではないが、「ファッション批評」実践のための方法論が様々に模索されていることが分かる。)
7)キーワード
ファッション、モード、衣服、服飾、文化史、社会史、デザイン、身体、ボディイメージ、ジェンダー、ポストヒューマン
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